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乾いた素焼きの壺へどんどんと清水が満たされ染みてゆくよな感覚で、この胸へ、この総身へと、蘇ったは前世の記憶。当時は世を挙げてという勢いで大きな戦さが展開されており、戦域へ送られた身には壮絶だったし苦労も多かった日々ではあったが、されどこのお人と知り合ったことが最高の宝だった“生”を思い返せば。今世に於ける直接の出会いからの日は短くとも、彼の人と成りはよくよく…感覚的なレベルで把握出来ていた自分であり。少女にはありがちな、甘い期待を抱かない訳じゃあないし、勘兵衛の側とて そうそう非情な身勝手はしないが。それでも…忙しさから頻繁に逢えなくとも、前々からの約束をすっぽかされても、そこが彼のらしさだと、怒るより先に諦めにも似た“納得”に至れる。そんな扱いをされたことよりも、そんな身であることこそが切なかったのは、現実にはまだまだ屈託のない少女のそれとして育まれていた感性が、前世で身勝手な別れを強いた、そんな勘兵衛を“許せない”と…無意識のうちにも感じてしまうせいだろか。
“……だって、しょうがないじゃない。”
今は刑事としてのそれ、昔はもっと儘の利かない“もののふ”としての、ある意味“職業病”と言えるほど染みついた性分が、自分にしか出来ぬことへとのめり込むその代わり、その他を上手にこなせぬ大きな偏りを勘兵衛へと齎しているところも変わりなく。あれほど聡明なお人だったからには、そんな自分であることも よくよく知っておいでだったろう軍師殿は。なればこそ…傍らに居たところで幸いを与えられない、自身の甲斐性とやらをわきまえた上でのこと。ただお傍に居られるだけで幸せだったこの自分を置き去りにし、何も言わずの突然に出奔なさり、それがそのまま今生の別れとなってしまったその終焉であり。あくまでも、先のある自分を想って下さった末での所業と判ってはいたが、それでも切なくて切なくて。ずっと一緒にはいられぬというなら、だったらだったで消息くらいは届けてくれてもよかろうに。あてもないままずっと待ってた先の5年以上、この世の風から解き放たれたその時までのとうとう、二度とはお姿拝めずに終えてしまった空しさよ。繋いでいた手を振りほどくよな、そんな情の無いお別れはネ。縁が深けりゃ深いほど、却って いつまでも相手を忘れられないものと。ああまで物知りなお人が 何でまた気づかぬものだろか。勿論のこと、決してめそめそとはしなかった。元は軍人、強かで雄々しくあれと、強く生きたがそれでもね。雑踏に白い長衣を見かけると胸を衝かれたし、癖の伸びた鋼色の髪をついつい視線で追う癖は とうとう直らぬままだった。昔を思い出したと同時、そんなこんながあふれ出したのが、そりゃあ辛くて切なくて。
「…シチ?」
何があっても離れるまいと、離すまいと決めたのに。ときおり胸の底が寒々しくなるのはどうしてだろか。この時代は昔のような制約もない。他は知らぬがこの国は、召喚されての人斬りの罪を義務として課されぬ程度には平和だし。忙しい身の勘兵衛ではあるけれど、携帯で“寂しい”とごねれば伝わり、場合によっちゃあ逢いにと出て来てもくれよう、そんな距離に互いが居るというのに。
「…如何した?」
追加の逮捕者を引き取りに来てくれとの連絡を本庁と取るべく、PCが常備されてあった娘さんたちのセミスィートのリビングに運んでいた彼らであり。操作を終えた画面を閉じて、腰掛けていた椅子のすぐ傍らに立つ七郎次と向かい合う。とんだところで先の仕事の完全な鳧がついたのは、日頃の行いがよかったからか。いやいや、一歩間違えりゃあ この愛らしい少女が巻き添えになっていたかも知れぬ。勘兵衛にとっては何にも替えられぬ大切な存在。選りにもよって、こうまで美しい身となってた“彼”との再会を果たそうとは思わなんだが、逢ってしまえば…慕情がつのるのに理由なんて要らぬほど、ああやはり愛しいのだと、自分の心の“本当”をあらためての重々と思い知らされた勘兵衛で。
「……。」
今の性は女子ゆえに、あのような騒動はさすがに怖かったものか。騒ぎを聞いて駆けつけた勘兵衛が、途轍もない薄着でいたのを上着でくるむと。そこへとすっぽり収まっただけじゃあない、そのままどこまでも縮んでしまいそうに頼りなかった細い身は、小さな震えを伝えて来もして。大仰に案じられるのを嫌うところは昔と変わらぬ、そんな意地っ張りへ“大事はないか”と囁けば。蚊の鳴くような声で“はい”と応じたのが何とも健気で…愛おしくって。
「……シチ?」
細い首を項垂れさせるその姿、初めて出会ったばかりのころの、少年の風情を色濃く残した下士官時代の彼を彷彿とさせもして。こうまでの美少女を掴まえて、そこへ男の姿を重ねるなんて。その双方ともが彼だという蓄積あっての、自分にしかし得ないことであろうよと思えば、贅沢なのだか…どうなのか。細いあごの先をモヘアのネックウォーマーの縁にうずめ、含羞むように微笑う清楚な美しさを愛でているだけなら、こんな眼福もないのだが。何が不満か…恐らくは この時代という環境と、好奇心の勝(まさ)る若さ漲るお年頃のせいだろか。時折、そりゃあ大胆ないで立ちに凝って、こちらをさんざん挑発することも多かりしの、元・古女房。そのたびに、頼むから大人しく収まっておってくれと思うものの、こんな風に萎れてしまわれるくらいなら…意気地無しとでも言いたいか、こちらを詰っては頬を膨らませる、威勢のいい、今時のお嬢さんでいてくれる方がずっといい。
「…とんだ怖い想いをさせてしもうたの。」
「…?」
え?と。視線を上げれば、精悍なお顔がこちらを真っ直ぐ見やってる。今の生でも前と同じほど、ずんと年の差が開いてしまっている二人であり。ああ、私が生まれる前は、私と出会うより前は、どんな想いをして過ごした勘兵衛様なんだろか。刑事さんなんていう、人の性分の絡まりを追うよな、やはり厳しいお仕事に就いていて。前ほど凄惨な時代じゃあないのに、以前と同じほどに眉間のしわも深くって。様々な錯綜や苦渋を飲んで飲んで、それで人としての厚みや深さを増したのだろうこと忍ばせる、彫の深い風貌も変わらぬ、相変わらずに苦労を背負ってしまう 損な人。
「勘兵衛様のせいでは…。」
他は知らぬが 今日のは たまさかの奇遇もいいところ。そんなお顔はよしてくださいと かぶりを振れば。それと同時に持ち上げていた、白い右手を掴まえられた。持ち重りのする大きな手。存在感があり、煙草を挟んでいても様になる頼もしさ。昔は、刀を操る勘のよさが秀逸でもあった手で。力も添うての荒ごとの極みだろうに、あれこそが“機能美”というものだと、若き日の七郎次には強く印象づけられたものだったけれど。
その手が肌が こんなにも熱かったなんてのは、
今の世で再び出会うまで、
すっかりと忘れ去ってたことだったから
そう、忘れていたのが寂しいのだ。かつては床を同じにしもしたし、体中を開いて一つになりもした仲だのに。やっと出会えて、互いを思い出せもして。なのになのに、つれないままの勘兵衛様で。そんなにも今世の私ではダメなのだろか。
「…勘兵衛様は。」
「…? シチ?」
小さな手がまた、何と愛らしいかと手放せずにおれば、妙にくぐもった声がして。ああいかんいかんと、気安く触ってはいかんと離しかければ、向こうからこそ ぐいと掴まれてしまい。
「勘兵衛様は、おのこでなくては抱けませぬのか?」
…………………はい?
記憶と感情とが錯綜しているらしく、言葉遣いが微妙に“昔”へ戻ってしまっている七郎次であり。いきなり何を言い出すものかと、俯きかかったお顔を見やれば、
「だって…っ。シチはそんなにも子供でしょうか?
こんなに…こんなにも、勘兵衛様が好きなのにっ。」
再び出会ってからこの方、こうやって手を繋ぐより先を、一歩だって進もうとしない人。すっかりと大人の勘兵衛様は、一緒にいても周囲の女性が必ず気にかけ視線を届けるほどに、風貌は精悍で、なのに知的で頼もしく。男らしさにまつわる魅力を、十分過ぎるほど持っているお人だのに。いつもやさしくて、会いたいとねだれば時間を作って下さって、でも。本当は…もしかしたらば、過去の私のほうがお好きなのかも。今の私はその子か孫のようなものとしてしか、見られないでいる勘兵衛様なのだったとしたら?
『……ってところまで、思い詰めてらしたようですよ?』
『…、…、…。(酷、悪、惨)』
先程の修羅場では、まだどこか落ち着いた対処を取れていたはずの君が。今や…淡雪のような頬を朱に染めて、青玻璃の双眸を潤ませて、年上の恋人を詰りにかかる。ちょっぴり大胆な振る舞いをすることはあれ、年齢相応に無邪気な少女だと思っていたものが。こんな愁嘆場に陥るほどの思い詰めまで、その小さな胸の中に秘めていようとは。あまりに意外な展開であり、
「…っ、」
何も 言の葉に乗せたことをそのまま、生々しくも具体的に望んでいるワケじゃあなかろうが。あまりにも“一人前”という扱いをされないことへは、そうまでも行き詰まっていたらしい憤懣を爆発させて。柔らかな唇、咬み切らんばかりに食いしばった少女へと、
「………許せ。」
深みのあるお声が低く響いて。だが、そのまま…掴んだままになってた手を、腕を、くいと引かれた。やはりまだその気にはなれぬと宥められるのか。ダメだな、こんな風に駄々ばかり捏ねていては。だから子供だと思われるのだろし、そのうち重荷に思われてしまっちゃうのかなぁ…などと。ちょっぴり渋みの滲んだ勘兵衛の匂いにくるみ込まれつつ、こんなやさしさは嬉しいはずが、それと裏腹、胸の内へ重苦しい何かが垂れ込め始めた………その矢先。
“…………え?”
引き寄せられたそのまま、そのお膝へとこちらも片膝で軽く乗り上げてしまう七郎次の背中、とんとんとんと撫でて下さる、いつもの“いい子いい子”かと思っていたものが。手を引くだけでは済まないか、もう片やの腕が背へもと伸びて。思いの他に強引な引き倒されようで、その懐ろへと倒れ込んでいたものだから。頬が触れたシャツ越しの肌合いや、胸元で触れ合う大人の男の筋骨の雄々しさ、それらのリアルな質感に、
“え?え?///////”
こちらは昔とは違って、どこもかしこも柔らかな身なればこそ。相手の頑丈な肉置き(ししおき)の堅さや精悍さが、触れてるだけでもその相違を伝えて来、そしてその落差が…頼もしいはずなのに、それと同じくらい怖くもあって。
「済まぬな。血肉を持つ身に触れもしないのでは、
飾っているだけの人形扱いと取られても抗弁出来ぬ。」
お声の響きが胸元震わせ、直に頬へも伝わって来る。ちょっとした身じろぎに添うて、雄々しい肉づきが動くのもありありと判り。怖ず怖ずと見上げれば、深色の眼差しが自分だけにそそがれる。ここに確かにおわすのだという、これ以上はない実感が、小さな少女の総身をくるむ。何度となく逢瀬を持った、幾度となく姿を見たし、お声も聞いた。思うところもよく話したし、癖やら好みやらを見たり聞いたりしつつ、ああ昔とお変わりないなぁとくすぐったい想いをいっぱい拾った。でも…それは ガラス越しにでだって得られるものじゃあなかろうかと。こんな風に“大事に”されても寂しいという感慨を運んで来るばかりだと、いつしか思うようになった七郎次でもあって。そんなことを思うのは我儘だと判っていたし、背伸びをしたって勘兵衛様ほどの大人ならお見通しだ、却って気遣いを増やさすだけだと、自分で自分を窘めもしたけれど。
「……狡いです、勘兵衛様。」
なんだ、やっぱりお見通しだったんだ。あんまり構ってくれぬから、大人扱いされたくての背伸びをいっぱいしてたこと。それでも振り向いてはくれぬと、とうとうこんな風に暴発しちゃった自分へと。よく我慢したねとやっと立ち止まって下さった。まだまだあちこちが、脆いほどやあらかすぎるシチだから。無理強いしてはいけないと、うっかりで傷つけてはいけないと、此処までおいでと背中ばかり追わせたお人が、
―― ああやっと、捕まえさせてくれたのだ
抱えられてるその腕が、こちらの二の腕に触れていて。少しほど斜めに乗り上がっているので、こちらの脇腹は、広くて堅い、勘兵衛様の胸やその下、お腹辺りに添うている。暖房が効いているからと、スーツのジャケットを脱いでる勘兵衛様で。シャツだけ隔ててのカシミアのセーター、くすぐったくありませぬか? 含羞みながら訊く少女へと、いいやと小さくかぶりを振ってやり、
「こんなことさえ してやれぬで、本当に済まなんだ。」
年齢相応に溌剌としていつつ、もう十分に大人のレベルでの慎ましさも備えてた彼女が、それでもでもと憧れ、望んでいたもの。さほどに難しいことではないはずなのは、重々承知していたが。ただ、と。ここまでは いたく落ち着いていたお顔が、微妙に…取り留めなくなり、落ち着きを無くして。
「ただ…触れたら最後、どう運ぶかに自信が持てなんだのでな。」
…………………………はい?
それこそ、こんな子供を相手に、今 何を仰せになりましたかと。青二才のようなお言いようへと耳を疑った七郎次の、キョトンとしている小顔を見下ろし。息をつくよに小さく苦笑をこぼした年上の恋人様は、
“………え?//////////”
すいとお顔を降ろして来ると。呆然としている愛しの君への贈りもの、やわらかな頬の随分と下方、唇には微妙に掠める程度の至近へと、触れるだけのキスを落として。そのままで頬と頬とをくっつけておれば、
「〜〜〜〜〜、ん〜。////////」
それだけ?とも、言わないとダメ?とも、意地悪!とも聞こえそうなむずがりのお声を、彼女の側からの了承と見なして、さて。ちょっぴりお顔を浮かせ直して、こうしてまぶたを閉じるのだよとの、見本のように目許を細めた彼へと合わせ。それは従順に…そおと目許を伏せる少女へと。今世では初めての口づけを、そおっとそおっと捧げて差し上げた、壮年殿であったとか。世界中で、貴方と私だけの、これは秘密なんだからネ? ね
…………さてとて。
大人で保護者の皆様には、示し合わせとか申し合わせとか、口裏合わせとかいう色々があるのでと、その打ち合わせにと和室の一つへ集まってしまわれて。夕食までにはまだ間があるのでと、こちらはこちらで最初に通されたセミスィートへ。三々五々のほてほてと、ともすりゃどれも似たようなお顔、魂が浮き上がっての足が地についてないかのような、気もそぞろなままに戻っておいでの三人娘。順次の到着となったお部屋の中の、ゴブラン織りとかいう細やかな刺繍のなされた、猫脚のお上品な椅子へとそれぞれが腰掛けて……幾漠か。
「…………あのさ。」
「……あのね?」
「………。///////」
誰からともなくの、あのねのね。こちらもこちらで、示し合わせとか申し合わせとか、口裏合わせとかいう色々を、口数少なに…視線だけでのやりとりで、通じ合わせたことがあり。
何も今宵でなくたって。
そうよ、そうだね。
だってさ、もう あんな恰好を見られちゃってるんだしサ。
やだやだ、それは言わないでよぉ。////////
おニュウの着ててよかったぁvv
こらヘイさん、なに喜んでんの。
???
やだ、何の話かじゃないでしょ、キュウゾウ。
?
だから…。//////
大胆なランジェリーがつや消しになるほど、
アタシら素の下着姿をサ、
ゴロさんや勘兵衛さんや兵庫さんに…。
だからね? あのランジェリ・コスは、
今日ご披露するの、辞めておきましょうって。
、〜〜〜〜〜〜っ。/////////
………キュウゾウ、
さては持って来てたことさえ忘れてたな?
あんた緊急事態以外はホンットに蛍光灯だよね。
………まあ、聖なる夜は本来は明日なんだしね。(ちょんvv)
おまけ 
「ところで、何でまた久蔵はあやつの携帯をと追っておったのだ?」
翌日の朝刊の関東地方の欄に大きく掲載された『お手柄 女子高生!』の記事を、少々、いやさ随分と頭痛がしないでもないというしょっぱそうなお顔で見やりつつ。朝食のバイキングが開かれているダイニング…のお隣りの、喫茶室の隅っこにて。ブラックコーヒー片手に ぽつりと呟いた勘兵衛だったのは、一晩かけてもそこのところの辻褄だけがどうしても合わなかったかららしく。
「ああ、それですか?」
七郎次の画像を収録していただろうと、向こうにして見りゃ そればっかりは言われなき疑いかけての、ああまで執念深くも壮絶に不審者を追い詰めたお転婆さん。日頃から熱血漢だというならともかく、転生してからの“彼”とも何度か逢ってる範囲から断じても、以前とさして変わらない、あんまり熱くはならぬ気性と思っていたのだがと。顎にたくわえた髭をつまむようにし、勘兵衛が小首を傾げて見せたのへ。だが、当事者の側はけろりとしたもの。
「勘兵衛様も御存知じゃあないのですね。」
もっとも、久蔵も知らなんだからこそ勘違いをしたのですがと。どこか遠回しな言いようをし、自分だけで微笑っている愛しの若女房だったのへ。これこれと促す視線を…おでこへの軽い接吻と共に送れば、
「あ、や…えとですね。//////」
あのそのと、ますますのこと しどろもどろになりつつ、それでも語ってくれた話によれば。あの携帯のそもそもの持ち主がファンだという、新進気鋭の音楽ユニットの画像を、液晶画面への待ち受けにしていたらしくって。今時のビジュアル系ユニット…というつもりはなくの、純粋に音楽のほうを主体にした活動を展開している彼ららしいが、それでも その、クリスタルのようなとか羽根のようなとか評される、軽やかで綺羅らかな、透明感あふれる蠱惑の風貌は秀逸で。持ち歌のビデオクリップのみならず、様々な業界からのCM出演やイメージシンボルとしての引き合いも殺到中。男女を問わず人気を集めている、美形二人のユニットだとか。
「芸能人、なのか?」
「ええ。その片方のお人が、あのその…アタシにちょっぴり似てるんだそうで。」
そういや久蔵ってば、自分の肌や髪へのケアやコスメには無頓着なくせに、あの二人がCMしていたリップクリームは買ってましたし、
「……アタシが好きなんじゃなく、あのお人が好きな久蔵なのかなぁ?」
そうであっても芸能人が相手なのだ、単なる憧れだろうにね。そんな順番なら ちっとばかり寂しいなぁとでも思うのか。だがだが、そのよな考え方は、確か昨日も聞いたような気がした勘兵衛様としては、
“…何でまた、自分への自信をもっと持たない子なのかねぇ。”
ああでも、そこへと自覚が強まると鼻持ちならない天狗になるから。この子の謙遜くらいが、世に言う美徳の範疇なんだろか。先程 自分の唇が触れた、おでこを上目遣いに見やって頬笑む幼さと、昨夜 どうして自分を抱いてくれぬのかと言いつのった、立派な凄艶さによる蠱惑をたたえていたお顔と。こんなものじゃあ収まらぬほどの色んなお顔、これからどんどんと見せてくれるのだろ、そりゃあ かあいらしい恋人さんへ、何ともくすぐったそうに笑った、壮年様だったそうでございます
Merry Christmas!!
〜Fine〜 09.12.15.〜12.18.
*ラストのおまけ、
なんでキュウちゃんが執拗に携帯を追ったかの顛末には、
某様のところの音楽ユニットを引っ張り出させていただきました。
判る人にしか判らないかも?ですが、
事後報告、どうかご容赦くださいませです。
*さて。
ちょっとした騒動をからませたせいですか、
勝手ながら、あの『笑う大天使(ミカエル)』の主役3人が、
ついつい重なってしまった789でございまして。
第一話の主役だった史緒さんがシチさんで、
コロポックル様こと柚子さんがヘイさん、
オスカル様こと和音さんがキュウというキャスティングは、
基本設定からして全く違うお話だってのに、
書きながら笑えるほどあちこちがマッチしておりました。
(猫かぶりしているワケでもなければ、
超人的な力を得ていた身でもないのにね。)
本家のお二方のところの彼女らは、
こんなもんじゃあない、
本当に瑞々しい女子高生たちですんで。
どうかそちら様で、正しい魅力をご堪能くださいませです。(笑)
めーるふぉーむvv 


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